コラム

身嗜みはその人を表す。

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大人のファッションについて考えるときに必ずついてくる言葉が「T.P.O.」。
「時と場所、場合に応じた方法・態度・服装等の使い分け」を意味する言葉が実は和製英語なことをご存知でしょうか。

Wikipediaによると、Time, Place, Occasionの頭文字をとったこの言葉は1960年代に「アイビールック」の一大ムーブメントをもたらせたVANの創始者・石津謙介が発案したもの、とのこと。

この言葉はもともとファッション用語でしたが、響きの良さ、使い勝手の良さからどんな場にも用いられるようになりました。

洋服×横文字の効果により、高度経済成長以降の考え方みたいですが、実は、日本には「身嗜み(みだしなみ)」という言葉が元々あったのです。

最近あまり聞かない言葉ですよね、、身だしなみ。辞書によると、

 人に不快感を与えないように、言動や服装を整えること。また、その心掛け。「身嗜みに気を配る」

 身分・境遇に応じて身につけておくべき教養や技芸。「上に立つ者としての身嗜み」

https://dictionary.goo.ne.jp/jn/212109/meaning/m0u/

だそうです。そして「嗜み」という言葉には、趣味などを学ぶ、自分の行いを慎む、前もって準備する、身なりを整える、などの意味があります。

ファッション業界では横文字を使いがちですが、「身だしなみ」はとてもいい言葉なので推進していきたいです。がちがちのルールに縛られるのではなく、かといってルールを「ハズす」一方でもなく、大人の教養があらわれるような、それが「身だしなみ」だと感じます。

『男の顔は履歴書』の元々の言葉は、ある人の内閣入りを薦められたリンカーンが言ったセリフです。

リンカーンは「彼の顔が気に入らないから嫌だ」と、その人の内閣入りを拒否しました。推薦者の「顔は生まれ付きのものだから仕方ない」という反論に対して、リンカーンは「40過ぎたら自分の顔に責任を持たなくてはいけない」と、言ったそうです。

リンカーンはその人の顔に性格や生きる姿勢を見たのでしょう。 服装も同じだと思います。40過ぎたら自分の服装に責任を持たなければいけません。

外見というのはそれだけ雄弁になにかを物語るのです。 リンカーンに断られた人には、、なりたくないですよね。

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