ジャケットとパンツが同じ色柄の同じ素材で作られた上下、それがスーツです。同じ生地で作られた一揃いの組み合わせが合理的だとされた20世紀はじめから現代にいたるまで、スーツは男性の服の中心でした。
昨今では気候やファッションコードの変化により、オフィスでもカジュアル化が進みスーツ姿は減少したように見えます。ですが、やはりスーツの装いは良いものです。当店はイタリアの服を中心に取り扱っておりますので、「着る人の色気」を引き立てて表現するイタリアのスーツの魅力を感じて頂ければと思っております。
奥深いスーツの世界、今回はLARINI（ラルディーニ）の新作スーツを紹介します。
ラルディーニ LARDINI テーラードスーツ ワイドラペル 2Bシングル ワンタック ウール ダークグレー チェック
ポリエステル混のウール生地はシャリ感があって扱いやすい。色のコントラストが曖昧な、シャドウグレンチェックは無地感覚で使えて無地よりニュアンスと奥行きがある、というもの。
スーツの襟
スーツの襟は、軍服や学生服のように立ち襟から始まりました。首や胸元を守るため首元が立ち上がっていたのが、快適性のために今の襟の形になりました。スーツの襟の形が立ち襟を開いたような形状で、上の部分（上襟、首の周り）と下の部分（下襟）に分かれているのもそのためです。
ゴージライン
上襟と下襟の境界線の縫い目のことをゴージラインと呼び、ここのラインに流行の変化が現れたりします。ゴージとは古い英語で「喉」を意味します。
ローゴージ（低めのゴージライン）は逆三角形でルーズなシルエットなスーツによく見られ、50年代や80年代後半に流行しました。ハイゴージ（高めのハイゴージ）はイタリアンクラシコを代表する仕様のひとつです。チェストが強調されることでウエストがくびれて見える効果があります。
このスーツは、以前に比べて若干ゴージラインが下がった気がします。よりクラシックな印象に。
ノッチドラペル
ラペルとは下襟のこと、ノッチは「Ｖ字」という意味です。上の画像のようにゴージラインが直線だと、上襟と下襟の境界にＶ字が生まれます。この形状をノッチドラペルと言います。シングルのジャケットでは最も一般的な形ですが、ゴージラインの位置により雰囲気を変えることが可能です。
ラルディーニのアイコン、お花のブートニエールは色んな種類がありますが今期のは固い素材。クリップ風のピンがおしゃれです。
シングル２つボタン
定番の2つボタンはＶゾーンが開くのでネクタイやシャツで縦長を演出でき、シャープでスポーティ。タイト目に着ても、広めのＶゾーンの為に窮屈に感じる事が少なく、開放感もあるのでスーツを着慣れないかたにもおすすめです。
サイドベンツ
後見頃の両脇の縫い目の下を開いたものをサイドベンツと呼びます（英語だとダブルベンツ）。センターベンツ同様、運動性を高める目的があります。軍人が腰にサーベルをさげるために作られたというのが起源です。両脇の縫い目がパンツに繋がっていくので、足長に見える視覚効果があるようです。肩は一枚芯地で固すぎず。
重ね眠り切羽＆フラップポケット
ボタンがやや重なってついている、イタリアのスーツではスタンダードな袖口です。玉縁（横に細い縁取り）をしたうえに、蓋（フラップ）をのせたフラップポケットも現代のスーツでは最も一般的な仕様で、カジュアルにもフォーマルにも使えます。
イタリアンクラシコ
ワンタックのパンツはテーパードがきいていて細身、スッキリと上品でオーソドックスなスーツです。
よく言われる「イタリアンクラシコ」とは、ざっくり言うと、イタリアの美意識（クラシックなエレガンス）を職人の優れた技術で継承した服のことで、その考えそのものを指すこともあります。
イタリアのお国柄でしょうか、とにかく「カッコよく見える」こと、そして「着心地が良い」ことを重視した結果、スーツが持つ社会的意味を越えたところに、イタリアのスーツの個性があるように思えます。つまり、スーツが画一的にならず個々に寄り添い、着る人の色気を際立てるような、そんな懐の広さをイタリアのスーツから感じます。
アンコンジャケットから、カジュアルのセットアップへ、そしてまた正統派のスーツへ。
このラルディーニのスーツは原点回帰とでも言うことができる、オーソドックスかつラグジュアリーに寄った一品です。一度は着たい正統派のイタリアンスーツでスーツの既成概念を新しくするのもいいかもしれません。
ラルディーニ LARDINI 【2023-24年 秋冬新作】 テーラードスーツ ワイドラペル 2Bシングルジャケット ワンタック スラックス ウール ダークグレー グレンチェック
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