今では高級スポーツウェアの代表格として世界中で知られているモンクレールですが、15年ほど前までは一部のスキーヤーや登山家のみが知っている、マニアックなヨーロッパのブランドでした。なぜここまでの人気ブランドになったのか、その理由をまとめました。
モンクレールの発祥
1952年にフランス・アルプス地方のHaute Savoie (オート=サヴォワ県)にてダウンジャケットのメーカーとして誕生したMONCLER(モンクレール)。
MONCLERというブランド名は創業の地 「モネスティエ・ドゥ・クレルモン(Monestier de Clermont)」の頭文字を取って名づけれたものです。
創業当初は寝袋やテントを作っていました。創業者のレネ・ラミヨン(Rene Ramillon)は、ビジネスをはじめてすぐに、厳しい気候のなかで働く労働者にはダウンの入ったナイロンのジャケットが必要なことに気がつき、アウターウェアの製造も始めます。
スキーヤー向けのニッチなブランドに
そして、モンクレールの評判をきいたフランスの有名な登山家ライオネル・テレー(Lionel Terray)と共同で最も過酷な状況に耐えられるようなダウンジャケットや手袋の試作と開発に努め、その結果、1954年の イタリア・カラコラム登頂隊 、1955年の フランス・マカル登頂隊 、1964年の アメリカ・アラスカ遠征隊などの装備に採用され 、1968年のグルノーブルオリンピックでフランスナショナルチームの公式ウェアに採用されました。
1964年 アラスカでのライオネル・テレーの写真。テントにモンクレールのロゴ。
1980年代に入るとブランドはカルト的な人気を集めます。ランジェリーウェアのデザイナーとして知られているシャンタル・トーマス(Chantal Tomas)とチームを組み、ファーのトリミングや色鮮やかなサテン生地やリバーシブル生地を採用して、伝統的なダウンジャケットに華やかさを加えました。
ブランドの転機
それでもまだモンクレールはスキー専門店で扱われる、知る人ぞ知る的なブランドでした。転機は、2003年にレモ・ルッフィーニ(Remo Ruffini)がブランドを買収し引き継いだことでおとずれました。
ルッフィーニはスポーツ用品店からモンクレールを撤退させて高級なデパートメントストアに卸し、ラグジュアリーブランドに変化させることに成功しました。2006年にはレディースのハイクラス商品を揃えたMoncler Gamme Rougeがスタートし、パリでのファッションウィークでもショーを開催しました。数年後にはメンズ部門も始動し、世界の名立たる都市にお店をオープンさせました。
モンクレールが先鞭をつけたのは、アウターウェアと高級スポーツウェアの融合です。元々、アルプス地方のライフスタイルに合わせて作られたものが、機能はそのままにハイエンドのストリートスタイルに生まれ変わりました。
ちょうどファッションの傾向がよりカジュアル化する中で、プラスアルファのステータスがあるモンクレールは一躍脚光をあび今に繋がります。
モンクレールのコラボコレクション
その後もモンクレールはクリエイターたちとコラボレーションを組んだ モンクレール ジーニアス (MONCLER GENIUS)コレクションをシーズン毎に発表し、芸術的な分野でも注目を集めます。
2018年9月には第四弾となる「モンクレール1952」を発表し、創業当時を新しい感性で振り返るコレクションを発表し、話題になりました。
より軽く、より動きやすく、プロフェッショナルであると同時に、最先端の視野とセンスを切り取れるモンクレールはこれからも進化し続けることでしょう。