男性のフォーマルな服装における最重要アイテムでありながらそのポテンシャルを生かしきれてないネクタイについてお話します。
なぜネクタイをするのか?
ネクタイの起源は諸説ありますが、その昔、妻や恋人から贈られた布を首に巻いていたクロアチア兵士たちをフランス国王が見て興味を持ったことがきっかけ、という説が有力なようです。
フランスで広まって、19世紀後半にはイギリスでほぼ現在の形になったネクタイ。アメリカに伝わり男性のビジネススタイルとして1920年代にはすっかり定着しました。
温暖化やクールビズ、服装のカジュアル化によりネクタイの地位はかなり下がったように思えます。ですが、ネクタイの無いスーツスタイルはなんかやっぱり味気ない。
男性がネクタイを外す姿にキュンとする女性が多いことからもわかるように、ネクタイというのは男性だけが身に着ける特別なアイテム。無難に選ぶんじゃ勿体ない。女性は結構見てます、男性のネクタイを。
それに、ネクタイって、すごく個性が出せるアイテムだと思うのです。
必要なのは少しの知識。
ちょっとの知識と投資でぐんと見違える、それがネクタイ。
上の図は「色相環 (カラーホイール)」と言って、円状に色を並べたもので色彩学で用いられます。専門的なものではないので頭の中に「紫-黄色」「赤-緑」となんとなく入れておくと便利です。
補色と反対色
補色とは 色相環 の中で向かい合う色で、反対色は向かい合った色の隣の色のことを言います。
上の画像は、右が同系色で左が補色(青と黄色)です。補色になるとお互いの色の鮮やかさが対比になって色が引き立ちます。
ファッション通の方はお気づきかもしれませんが、青と橙の組合せは、イタリアの男性が好む色の組み合わせである「アズーロ・エ・マローネ」に通じます。イタリア語で、アズーロ(AZZURRO)は空色、すなわち青のこと。マローネ(MARRONE)は栗色、すなわち茶色を意味します。
https://allabout.co.jp/gm/gc/475713/
カーキ色は黄色や黄緑の色相なので、紫との組合せは補色になります。橙(茶)と青、黄・黄緑(カーキ)と紫といった組合せが、おしゃれに見えるのは、色彩調和の観点からも理にかなっています。
類似色(同系色)
隣り合う色の組み合わせ。落ち着きがあってまとまりが出ます。同系色の時はネクタイの色はシャツの色より濃くすること。
類似色の組み合わせは無難になりがちなので柄on柄にすると華やかさがでます。
ツィードのジャケットにニットタイなど、素材の雰囲気を合わせると素敵です。
柄on柄
柄シャツに柄のネクタイを合わせると一気にオシャレ度があがります。
例えば、ストライプのシャツにレジメンタルか小さ目のドットのネクタイ。決してハードルは高くないのに洗練されて見えます。
ネクタイのコーディネートの基本的な考えた方は簡単です。
- ネクタイの色はシャツの色より濃くする。
- 柄の大きさは揃えない。
- シャツの色の一部をネクタイに取り入れる。
- 色のトーン(明度)を合わせる。
柄物でも無地でもこれに従えば調和がとれてちぐはぐな感じはしません。
チェックのジャケットにチェックのベスト、ギンガムのシャツにペイズリーのネクタイ。オール柄物でもまとまって見えるのは、色のトーンが揃ってるのと、柄の大きさがバラバラなためです。
ネクタイの世界は奥深くて楽しいものです。絵を描くような感覚で、もっと気軽に選んでみてはどうでしょうか。